なぜ大規模修繕時にバリアフリーを検討すべきか
築20年以上のマンションでは、住民の高齢化が進んでいるケースが少なくありません。新築時にはバリアフリーの意識が低かった時代の建物も多く、段差や手すりの不足など、高齢者や障がいのある方にとって不便な箇所が残されています。
大規模修繕は共用部分を大きく改修できる数少ない機会です。このタイミングでバリアフリー改修を同時に行えば、足場や工事体制を共有してコストを抑えることができます。
検討すべきバリアフリー工事
エントランス・共用廊下の段差解消
エントランスや共用廊下の段差にスロープを設置する工事です。車椅子やベビーカーの利用者だけでなく、荷物の運搬時にも便利になり、全住民にメリットがあります。費用は規模にもよりますが、1箇所あたり20〜50万円程度です。
手すりの設置
共用廊下・階段・エントランスへの手すり設置は、比較的低コストで効果の高いバリアフリー工事です。1箇所あたり5〜15万円程度で設置でき、高齢者の転倒予防に直結します。
エレベーターの改修
既存エレベーターのリニューアルに合わせて、車椅子対応のボタン配置、点字表示、音声案内、鏡の設置などを行う方法があります。設備更新のタイミングと合わせて検討しましょう。
オートロック・自動ドアの設置
エントランスへの自動ドア設置は、両手がふさがっている場合や車椅子利用時に大きなメリットがあります。防犯性向上にもつながるため、セキュリティ対策としても有効です。
共用部分の照明改善
加齢に伴い視力が低下するため、共用廊下や階段の照明を増設・LED化する工事も有効です。人感センサー付きの照明にすれば、省エネと安全性を両立できます。
費用と財源
大規模修繕との同時施工でコスト削減
バリアフリー工事を単独で行う場合と大規模修繕と同時に行う場合では、足場代・養生費・共通仮設費を共有できるため、同時施工の方が割安になります。資金計画の段階でバリアフリー工事の予算も組み込んでおきましょう。
補助金・助成金の活用
多くの自治体で、マンションのバリアフリー改修に対する補助金・助成金制度が設けられています。工事着手前に自治体の窓口に相談し、活用できる制度がないか確認しましょう。
合意形成のポイント
バリアフリー工事は「一部の住民のための工事」と捉えられがちですが、全住民がいずれ恩恵を受ける投資であることを説明しましょう。住民アンケートでニーズを把握し、優先度の高い工事から段階的に実施するのが現実的です。
また、バリアフリー化はマンションの資産価値にもプラスの影響があります。将来の売却や賃貸を考えた場合、バリアフリー対応は大きなアピールポイントになります。


